「おすすめのDXツールありますか?」
と聞かれ、一瞬絶句した。RPAに関わる仕事をしている人ならこの質問に免疫がついているかもしれない。当たり前のことだが、"何をしたいのか"が明確でなければツールをおすすめすることはできない。
こういう問いをすること自体は悪いことだとは思わなくなった。というより仕方ないんだろうなぁ、と。
なぜこういう質問が出てしまうのか10秒ほど考えてみたけど、たぶん課題が多すぎて頭が整理できていないんじゃないか、と。僕も同じ状況ならきっとパニックになるので「じゃあ整理したらいいじゃん」とは強くは言えない。
壁打ち相手を求めているのだ。別に壁打ち相手はDXのプロじゃなくてもいいんだと思う。自分の思っていることを誰かに吐き出すことで頭が整理できる、なんてことは普通にあるわけで、その作業を行うフェーズだと思えばいいだけなのだ。
だから、「おすすめの~」の質問が来たときは相手に溜まっている不満、意見、愚痴をたんまり吐き出してもらうことを狙いとした会話をする。ヒアリングというかカウンセリングに近い。繰り返すがこの作業を行うのに特段特別なスキルがいるかというと、そんなことはないと思ってる。
意識するのは洗い出しと優先度。優先度を決める軸としては業務の重要性だけでなく、その業務に関わる人たちの熱量もしっかり考えること。特に1発目の自動化案件としてはその"効果を知ってもらうこと"が大事だと思ってる。業務担当者の熱量が高ければ高いほど感動も大きくなる、というわけ。そうなれば雪だるま式に熱量が上がっていく。
全社的にインパクトのあるような重要な業務を選定するのも悪くはないが、誰も自分ごととして考えにくく、"確かに大事な業務だよなぁ~自分はよく分かんないけど…"という思考になりがち。重要な仕事をしているはずなのにイマイチ気持ちが乗ってこない。熱量はバカにできない大事な指標の一つだと僕は思う。
ちょっと話がそれたが、「おすすめのDXツールありますか?」と聞く時点で業務自動化に対する熱量は果たして高いのかどうか、ちょっと怪しい。
上が突っついてくるから仕方なくやらないといけない、みたいな。
どんな仕事も同じだと思うけど、気持ちが入らないと何事もうまくいかない。理屈で何もかもうまくいくわけではないのがこの仕事の難しいところでもあり面白いところでもあるのだと思う。